文化財ニュースNo.20
発行 赤穂市教育委員会
編集 生涯学習課文化財係(赤穂市加里屋81番地 0791-43-6962)
平成25年4月22日
このページでは、平成24年度に赤穂市教育委員会が行った事業を総括しています。
最新ニュースは、トップページからご紹介していますのでご覧ください。
また、これまで記事となった事項は、リンクをつけておりますのでご参照ください。
最新ニュース
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■文化財ニュース20を追加しました!
■『文化財をたずねて』21を発行しました!
■赤穂城二之丸庭園屋形舟遊覧を開催します!
■平成24年度埋蔵文化財調査の概要を追加しました!
■平成25年度赤穂市文化財係の事業内容を追加しました!
■国史跡赤穂城跡に関する活動
- 赤穂城跡二之丸庭園の整備、二之丸・本丸桝形の修理
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国史跡赤穂城跡では、平成24年度の整備事業として、本丸桝形整備、二之丸桝形整備、二之丸庭園内の傘亭とその周辺整備を行いました。このほか、赤穂義士会により二之丸庭園内の舟屋整備も行われました。 本丸桝形は、整備後に発見された絵図を資料として、正しい姿に復元されました。二之丸桝形は、平成14年度の発掘調査で見つかった遺構および古写真をもとに、北側の石垣や堀が整備されました。傘亭は、二之丸庭園上流部と下流部のちょうど中間地点にあり、良好な眺望の得られるところにあります。旧状の地形から何らかの構築物が推定されていた場所で、文化庁の指導及び赤穂城跡整備委員会による慎重な審議を経て、整備されました。舟屋は、ゴールデンウィークや赤穂義士祭等のイベント時に運航される屋形舟の舟屋として利用されます。 だんだんと往時の城郭の姿に復元されていく二之丸庭園。一般公開に向けて鋭意整備を実施してきますので、ご支援のほどよろしくお願いいたします。
■有年に関する活動
- 東有年・沖田遺跡公園の説明板修理及び樹木剪定を実施
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東有年・沖田遺跡は、ほ場整備事業に伴って発掘調査が行われ、古くは縄文時代からの人々の生活跡が見つかった、市内有数の大規模な集落遺跡です。現在は東有年・沖田遺跡公園として、弥生時代や古墳時代の竪穴住居などが6棟復元され、市民の憩いの場となっています。 開園後15年が経過し、説明板は割れたり腐ったりし、また開園時に比べ樹木が繁茂し、利用に支障をきたすようになっていました。そのため、このたび遺跡説明板及び住居表示板を修理し、樹木の剪定も実施しました。説明板についてはデザインを一新しています。ぜひご来園ください。
■坂越に関する活動
- ○旧坂越浦会所及び赤穂市立有年考古館にて「佐方渚果生誕110年」を開催
- ○旧坂越浦会所にて「平井正年生誕130年展−里帰り・坂越幼稚園天井画を中心にして−」を開催
- ○坂越湾において船檀尻の復活公演を実施
- ○坂越の船祭の映像記録調査を実施
■埋蔵文化財に関する活動
- ○平成24年度の発掘調査で、江戸時代の木簡や古代の墨書土器などの遺物が出土。速報展示を開催
- ○有年考古館にて、平成24年度埋蔵文化財巡回展「備前焼 変容する伝統」を開催
- 平成24年度埋蔵文化財調査の概要
- 有年原・クルミ遺跡発掘調査報告書2を刊行
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赤穂市教育委員会では、文化財に関するこれまでの調査成果について、「赤穂市文化財調査報告書」として刊行、公開しています。このたび、赤穂市文化財調査報告書76として、「有年原・クルミ遺跡発掘調査報告書2」を刊行しましたのでお知らせいたします。
有年原・クルミ遺跡は、有年土地区画整理事業に伴って発掘調査された遺跡です。本書は、平成19年度〜22年度にかけて行われた全面発掘調査の成果をまとめています。調査では、市内初の縄文時代晩期の竪穴建物跡や、古墳時代初頭の竪穴建物跡などが発見されたほか、多くの河川跡が見つかり、当時の人々の生活と地形との関係がよく理解できる成果が得られました。
本書により、有年土地区画整理事業に伴う発掘調査報告書は3冊目となりました。有年土地区画整理事業に伴う調査はまだ継続中であり、また成果の蓄積を待ち、報告書を刊行する予定です。 さらに詳しく知りたい方や購入希望の方は、こちらの紹介ページもご参照ください。
平成24年度も赤穂市教育委員会では、各種埋蔵文化財の調査を実施しました。
ここでは平成24年度に行った主な埋蔵文化財調査の概要をお伝えします。
高雄山神護寺跡
高雄山神護寺は赤穂市周世の標高およそ180mの丘陵上に位置する天台宗の山岳寺院です。現在は「赤穂ふれあいの森」として周辺が整備されています。創建は鎌倉時代の文治年間(1185〜1190年)ですが、戦乱によって衰退し、江戸時代の寛文3年(1663年)に浅野長直によって再興されました。
大雨で崩落した斜面に石垣が露出したため、復旧工事の前に、石垣の調査を実施しました。
石垣周辺からは江戸時代の瓦が出土しており、この石垣は江戸時代以前に築かれた可能性が高く、浅野長直による神護寺再興時のものである可能性があります。
また、周辺では中世の土器も出土しており、中世寺院である神護寺の成り立ちを考える上で重要な資料を得ることができました。
高雄山神護寺は「赤穂ふれあいの森」内にあり、近くまで自動車で行くことができます。石垣は現在、崩落防止と保護のためにシートがかけられていますが、境内には大石良雄寄進の石燈籠(市指定文化財)など、江戸時代の石造物を見ることができます。ハイキングがてらにいかがでしょうか。
有年牟礼・井田遺跡
有年区画整理事業に伴って、継続的に発掘調査を行ってきた有年牟礼・井田遺跡ですが、平成24年度にも発掘調査を実施しました。
調査区は90u程度の小さなものでしたが、縄文時代後期(およそ3,500年前)から、近現代に至るまでの多くの遺物・遺構が見つかりました。特に縄文時代の遺構は有年牟礼・井田遺跡では初めて検出されたもので、非常に貴重な成果となりました。
また、弥生時代中期後半(およそ2,100年前)の土器が捨てられた溝や、火事にあった古墳時代後期(およそ1,500年前)の建物の跡など、多くの遺物や遺構が発見されました。
遺跡は埋め戻され、見学することはできませんが、調査成果や出土した遺物は赤穂市立有年考古館の企画展「発掘調査速報展2013」(会期:平成25年10月23日〜11月18日)にて展示いたしますので、お楽しみに!
火事にあったと思われる古墳時代の建物跡。黒い棒状のものは焼け残った柱です。
みかんのへた山古墳
みかんのへた山古墳は坂越地区、小島の丘陵頂上にある兵庫県指定史跡の古墳です。古墳時代中期(約1,600年前)に築かれたことは分かっていましたが、古墳の形や大きさはよく分かっていませんでした。
そのため、赤穂市教育委員会では古墳の測量調査を行い、測量図を作成しました。その結果、これまで径38mの円墳といわれていた古墳は、径30mの造出付きの円墳であることが分かりました。
また、これまで確認されていなかった径13mの円墳(みかんのへた山2号墳)も確認し、みかんのへた山古墳が古墳群であることが明らかになりました。
みかんのへた山古墳群への道はハイキングコースになっておりますので、どなたでも見学することができます。古墳からは坂越湾を一望し、遠くには小豆島が浮かぶ美しい風景を望むことができます。ぜひ一度ご見学ください!