平成24年度埋蔵文化財調査
今年度も赤穂市教育委員会では、各種埋蔵文化財の調査を実施しました。
ここでは今年度行った主な埋蔵文化財調査の概要をお伝えします。
高雄山神護寺跡
高雄山神護寺は赤穂市周世の標高およそ180mの丘陵上に位置する天台宗の山岳寺院です。現在は「赤穂ふれあいの森」として周辺が整備されています。創建は鎌倉時代の文治年間(1185〜1190年)ですが、戦乱によって衰退し、江戸時代の寛文3年(1663年)に浅野長直によって再興されました。
大雨で崩落した斜面に石垣が露出したため、復旧工事の前に、石垣の調査を実施しました。
石垣周辺からは江戸時代の瓦が出土しており、この石垣は江戸時代以前に築かれた可能性が高く、浅野長直による神護寺再興時のものである可能性があります。
また、周辺では中世の土器も出土しており、中世寺院である神護寺の成り立ちを考える上で重要な資料を得ることができました。
高雄山神護寺は「赤穂ふれあいの森」内にあり、近くまで自動車で行くことができます。石垣は現在、崩落防止と保護のためにシートがかけられていますが、境内には大石良雄寄進の石燈籠(市指定文化財)など、江戸時代の石造物を見ることができます。ハイキングがてらにいかがでしょうか。
有年牟礼・井田遺跡
有年区画整理事業に伴って、継続的に発掘調査を行ってきた有年牟礼・井田遺跡ですが、平成24年度にも発掘調査を実施しました。
調査区は90u程度の小さなものでしたが、縄文時代後期(およそ3,500年前)から、近現代に至るまでの多くの遺物・遺構が見つかりました。特に縄文時代の遺構は有年牟礼・井田遺跡では初めて検出されたもので、非常に貴重な成果となりました。
また、弥生時代中期後半(およそ2,100年前)の土器が捨てられた溝や、火事にあった古墳時代後期(およそ1,500年前)の建物の跡など、多くの遺物や遺構が発見されました。
遺跡は埋め戻され、見学することはできませんが、調査成果や出土した遺物は赤穂市立有年考古館にて展示する予定ですので、お楽しみに!
火事にあったと思われる古墳時代の建物跡。黒い棒状のものは焼け残った柱です。
みかんのへた山古墳
みかんのへた山古墳は坂越地区、小島の丘陵頂上にある兵庫県指定史跡の古墳です。古墳時代中期(約1,600年前)に築かれたことは分かっていましたが、古墳の形や大きさはよく分かっていませんでした。
そのため、赤穂市教育委員会では古墳の測量調査を行い、測量図を作成しました。その結果、これまで径38mの円墳といわれていた古墳は、径30mの造出付きの円墳であることが分かりました。
また、これまで確認されていなかった径13mの円墳(みかんのへた山2号墳)も確認し、みかんのへた山古墳が古墳群であることが明らかになりました。
みかんのへた山古墳群への道はハイキングコースになっておりますので、どなたでも見学することができます。古墳からは坂越湾を一望し、遠くには小豆島が浮かぶ美しい風景を望むことができます。ぜひ一度ご見学ください!