文化財ニュースNo.24
発行 赤穂市教育委員会
編集 生涯学習課文化財係(赤穂市加里屋81番地 0791-43-6962)
平成29年5月22日
このページでは、平成28年度に赤穂市教育委員会が行った事業を総括しています。
最新ニュースは、トップページからご紹介していますのでご覧ください。
また、これまで記事となった事項は、リンクをつけておりますのでご参照ください。
最新ニュース
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■有年地区埋蔵文化財詳細分布調査報告書を刊行しました!
■赤穂市立有年考古館報告書『有年考古』第4号を刊行しました!
■『赤穂のいいトコ どんなトコ?展』を開催しました!
■平成29年度赤穂市文化財係の事業内容を追加しました!
■国史跡赤穂城跡に関する活動
- 赤穂城跡二之丸城壁の修理
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赤穂城跡では、平成28年度事業として、二之丸東部城壁の修理を行いました。
加里屋川に面したこの城壁は、明治以後に石垣裏側の土が削られたために大きく孕んでおり、天端石については崩れ落ちている状態でした。
今回の修理では、当時の石垣をできる限り残す方針とし、上から1、2石程度の石垣修理を実施するとともに、裏側に土塁を復元することで、石垣の劣化を防ぎました。江戸時代の石垣をできる限り残した整備を、今後も実施していく予定です。
なお、整備に伴って発掘調査も実施しています。発掘調査では、石垣構築時の技法を示す遺構などが発見されました。
整備前
整備後
- 赤穂城跡 橋の修理
- このたび、赤穂城跡本丸厩口門と三之丸大手門の橋修理を実施しました。両者とも、経年劣化による毀損が見られたため、毀損材の取替修理を行い、また大手門橋については塗装も行いました。
■有年に関する活動
- 有年考古館活動
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赤穂市立有年考古館では、年間を通して様々な特別展・企画展を開催したほか、体験学習やボランティア事業を行いました。
特に、特別展「発掘された上水道」では、敷設400年を記念した旧赤穂上水道の展示で、赤穂だけでなく、神田上水、福山水道、高松水道などについても解説し、その歴史を探りました。 - →有年考古館Webサイトの特別展報告へ
- 文化財説明板の作製設置
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文化財係では、市内に所在する文化財への来訪者に、より理解を深めてもらうため、説明板を設置しております。
平成28年度は、塚山古墳群と有年牟礼・山田遺跡について設置いたしました。
特に塚山古墳群では、来訪者への便宜を図るため扉も設置しております。内容も、3次元データを用いたヴィジュアルな表現を用い、またQRコードでWebで詳細なデータにアクセスできるなど、より広く、より深い説明板としております。
皆さま、ぜひご来訪ください。
塚山古墳群
有年牟礼・山田遺跡
■埋蔵文化財に関する活動
- 区画整理調査成果
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有年土地区画整理事業に伴って、継続的に発掘調査を実施している有年牟礼・井田遺跡ですが、平成28年度にも発掘調査を実施しました。
今回は市道の建設される部分、およそ530uについて調査を実施し、調査では弥生時代から中世までの遺物・遺構が見つかりました。
調査地点は集落の西端にあたり、集落の範囲がおよそ推定できるようになりました。
今回の調査で、有年牟礼・井田遺跡の集落の周囲がどのような環境であったのか、当時の人々の生活を知る手がかりが得られました。
- 分布調査成果
- 有年地区には蟻無山古墳群や塚山古墳群をはじめ、多くの古墳や遺跡が点在しています。しかし、具体的な場所や数、範囲などはこれまで調査されたことがなく、詳細は不明でした。
そこで、赤穂市教育委員会では、平成25年度より有年地区の分布調査を開始し、古墳や遺跡がどれくらい存在するのかを調査しています。
平成28年度には、有年楢原〜東有年地区において分布調査を実施しました。調査の結果、これまで確認されていなかった古墳を確認することができました。
今後、これらの古墳や遺跡の保護、調査研究などを行う上で、貴重な基礎資料が得られました。 - 保存処理
- 発掘調査等で出土した遺物の保存処理事業では、かつて赤穂城本丸跡の発掘調査により出土した木簡の保存処理と分析を実施しました。
- 有年牟礼・山田遺跡出土遺物レプリカ作製
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平成23年度に発掘調査を実施した有年牟礼・山田遺跡出土遺物のレプリカ作製を実施しました。有年牟礼・山田遺跡では赤穂市唯一の方形周溝墓が発見され、出土した遺物には岡山県や香川県から運ばれてきた土器が含まれており、貴重な資料となっています。
今後の資料の貸し出しや展示に対応するため、出土遺物のレプリカのほか、同じ大きさ、形をした土器パズルを作製しました。
■旧赤穂上水道関係
旧赤穂上水道は、平成28年度に敷設400年を迎えたことから、各種記念事業を行いました。
→400年記念事業チラシ
- ○旧上水道説明板の設置
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- 赤穂市教育委員会では、日本三大上水と言われる旧赤穂上水道の顕彰に取り組んでおります。平成28年度が敷設400年となることから、3箇所に陶板による解説板を設置いたしました。
- 解説板では、それぞれの地点に即した旧赤穂上水道の解説を行うとともに、QRコードによってインターネット上のより詳細な情報にもアクセスできるようになっております。
- ○旧赤穂上水道映像ソフト制作
- 約15分間の、旧赤穂上水道を解説する映像ソフトを制作いたしました。Blu-ray及びDVDを教育委員会で貸出しているほか、youtubeでも視聴することができます。
- ○旧赤穂上水道をたずねてビデオへのリンク
■歴史文化基本構想
赤穂市教育委員会では、市内に所在する歴史文化遺産を、指定、未指定を問わず悉皆調査して整理し、今後のまちづくりに活かすための計画「赤穂市歴史文化基本構想」の策定を開始いたしました。
平成28年度には、市内に所在する歴史文化遺産の悉皆調査の一環として、市民アンケート、シンポジウム等を開催しました。
■その他
- ○ 文化財資料をデジタル化しました
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赤穂市教育委員会では、これまでに作成したアナログの文化財資料について、デジタル化を行うことで恒久的な保存を図る事業を実施しております。
平成28年度事業としては、有年原・田中遺跡の発掘調査で作成された図面のスキャニングを実施しております。スキャニング図面は、報告書図面の下絵となるもので、業務の効率化につながります。 - ○新指定文化財の紹介(リンク)
- ○完売図書のネット公開(リンク)