兵庫県赤穂市の文化財 -the Charge for Preservation of Caltural Asset ,Ako-
−赤穂城跡、赤穂の歴史民俗、文化財、観光、名所旧跡、遺跡、発掘調査、考古学などなど−

文化財ニュースNo.23


発行 赤穂市教育委員会
編集 生涯学習課文化財係(赤穂市加里屋81番地 0791-43-6962)
平成28年4月21日

 このページでは、平成27年度に赤穂市教育委員会が行った事業を総括しています。
 最新ニュースは、トップページからご紹介していますのでご覧ください。
また、これまで記事となった事項は、リンクをつけておりますのでご参照ください。


最新ニュース

赤穂城下町跡発掘調査報告書を刊行しました!
赤穂市立有年考古館報告書『有年考古』第3号を刊行しました!
平成28年度赤穂市文化財係の事業内容を追加しました!
赤穂城二之丸庭園屋形舟遊覧を開催します!

■国史跡赤穂城跡に関する活動

赤穂城跡二之丸城壁の修理
 赤穂城跡では、平成27年度事業として、二之丸東部城壁の修理を行いました。
 加里屋川に面したこの城壁は、明治以後に石垣裏側の土が削られたために大きく孕んでおり、天端石については崩れ落ちている状態でした。
 今回の修理では、当時の石垣をできる限り残す方針とし、上から1、2石程度の石垣修理を実施するとともに、裏側に土塁を復元することで、石垣の劣化を防ぎました。江戸時代の石垣をできる限り残した整備を、今後も実施していく予定です。
 なお、整備に伴って発掘調査も実施しています。発掘調査では、現在の赤穂城より古いと思われる遺構が発見されるなどの成果がありました。


■有年に関する活動

有年考古館活動
 赤穂市立有年考古館では、年間を通して様々な特別展・企画展を開催したほか、体験学習やボランティア事業を行いました。
 特に、特別展「播磨の弥生墓−円形周溝墓と方形周溝墓−」では、兵庫県内の弥生時代の墓から出土した資料を一堂に会し、その実態を探りました。
有年の文化遺産映像制作
 「文化財の宝庫」と言われる有年地区について、その文化財の歴史と意義を紹介する映像ソフト「有年の過去を、旅しよう。」を制作しました。
 時間にして約14分のこの作品は、有年考古館のマスコットキャラクター「うにゅ」が縄文時代以来の有年の歴史を紹介する、教育・生涯学習資料となっています。フルハイビジョン画質で制作し、有年の美しい風景なども収録しております。
 教育委員会や図書館で貸出しを行っておりますので、皆さまぜひご鑑賞ください。
 黒尾須賀神社説明板設置
 旧赤穂郡最古の義士絵馬として、平成8年に市指定文化財(歴史資料)に指定された、「黒尾須賀神社義士画像図絵馬」は、所有者である黒尾地区住民によって積極的な保存管理が行われてきましたが、風雨による劣化により、今後は赤穂市立歴史博物館で収蔵することとなりました。
 そこで赤穂市教育委員会は、絵馬と同サイズの指定文化財説明板を作製、設置することとしました。実物の絵馬そっくりに掲示された説明板は、絵馬堂の雰囲気も残したかのようです。皆様ぜひご観覧ください。

■埋蔵文化財に関する活動

区画整理調査成果
 有年土地区画整理事業に伴って、継続的に発掘調査を実施している有年牟礼・井田遺跡ですが、平成27年度にも発掘調査を実施しました。
 今回は市道の建設される部分、およそ250uについて調査を実施し、調査では弥生時代から中世までの遺物・遺構が見つかりました。
 弥生時代(約2,000年前)の遺構としては、大規模な川の跡がみつかり、弥生土器が出土しています。調査地周辺は集落の周囲に広がる湿地のような環境にあったようで、川岸に不要な土器が捨てられていたようです。
 中世(約800年前)の遺構では、掘立柱建物跡が2棟見つかりました。調査地点は集落の南西端にあたり、集落の範囲がおよそ推定できるようになりました。
 今回の調査で、有年牟礼・井田遺跡の集落の周囲がどのような環境であったのか、当時の人々の生活を知る手がかりが得られました。
分布調査成果
 有年地区には蟻無山古墳群や塚山古墳群をはじめ、多くの古墳や遺跡が点在しています。しかし、具体的な場所や数、範囲などはこれまで調査されたことがなく、詳細は不明でした。
 そこで、赤穂市教育委員会では、平成25年度より有年地区の分布調査を開始し、古墳や遺跡がどれくらい存在するのかを調査しています。
 平成27年度には、有年牟礼・東有年・有年楢原地区において分布調査を実施しました。調査の結果、これまで確認されていなかった古墳も含め、約70基の古墳を確認しました。 
 今後、これらの古墳や遺跡の保護、調査研究などを行う上で、貴重な基礎資料が得られました。
保存処理
 発掘調査等で出土した遺物の保存処理事業では、かつて有年考古館の発掘調査により出土した西野山3号墳の剥ぎ取り資料の保存処理と分析を実施しました。
有年牟礼・山田遺跡出土遺物レプリカ作製
 平成23年度に発掘調査を実施した有年牟礼・山田遺跡出土遺物のレプリカ作製を実施しました。有年牟礼・山田遺跡では赤穂市唯一の方形周溝墓が発見され、出土した遺物には岡山県や香川県から運ばれてきた土器が含まれており、貴重な資料となっています。
 今後の資料の貸し出しや展示に対応するため、出土遺物のレプリカを作製しました。

■その他

○旧上水道説明板の改修
 赤穂市教育委員会では、日本三大上水と言われる旧赤穂上水道の顕彰に取り組んでおります。平成26年度は、赤穂城跡三之丸大手門の東にある旧上水道説明板の改修工事を行い、赤穂城の玄関口にあたるガイダンスも兼ねた、説明板を設置しました。
 平成27年度は、戸島枡に隣接して設置されていた旧上水道説明板について、改修工事を実施しました。説明板では、高雄切山隧道からのルートも併記し、導水路の重要な分岐点として位置づけられるこの地点に相応しい内容を解説しております。皆様ぜひご観覧ください。
○ 文化財資料をデジタル化しました
 赤穂市教育委員会では、これまでに作成したアナログの文化財資料について、デジタル化を行うことで恒久的な保存を図る事業を実施しております。
 平成27年度事業としては、赤穂城跡及び有年原・田中遺跡の発掘調査で作成された図面のスキャニングを実施しております。スキャニング図面は、報告書図面の下絵となるもので、業務の効率化につながります。
指定文化財防犯カメラ設置補助事業開始(リンク)
完売図書のネット公開(リンク)


前ページにもどる

巻頭写真1
(クリックすると拡大します。)

−連絡先−
赤穂市教育委員会事務局文化財課文化財係
〒678-0292 兵庫県赤穂市加里屋81番地
TEL:0791-43-6962 FAX:0791-43-6895
赤穂市ホームページ