市指定文化財
当麻曼荼羅図
たいままんだらず
- 区分
- 有形文化財
- 種別
- 絵画
- 数量
- 1幅
- 所有者
- 個人
- 指定年月日
- H.26.3.31
- 指定番号
- 59
- 説明
-
当麻曼荼羅図は、奈良・当麻寺に伝わる根本曼荼羅の転写本である。根本曼荼羅は中将姫が蓮の糸で一夜にして織りあげたという伝説があるが、実際は綴織である。制作は中国・唐時代か、あるいは日本製で奈良時代(8世紀)かとされている。大きさは、縦394.8p、横396.9pで、ほぼ正方形の大幅である。
図様は『観無量寿経疏』にもとづいて描かれたもので、中央に阿弥陀如来、左右に普賢菩薩、観音菩薩の三尊を中心に極楽の世界を表現している。
平安時代中期ごろから浄土信仰が盛んとなり、また浄土宗の展開とともに、極楽浄土を具体的に表現した姿として盛んに用いられた。鎌倉時代に入り、多くの転写本が制作されるようになり、根本曼荼羅と同じ大きさのものから、4分の1、6分の1、16分の1 なども作られた。本図は絹本着彩で、丈128.0cm、幅116.3cmであり、多少誤差はあるが9分の1本と思われ、やや縦長の画面である。
図の下辺の九区画には、九品来迎図が描かれ、その中央の区画には銘文が書かれているが、本図では原作がそうであったのであろう文字が欠落していて一部しか書かれていない。転写本の所以である。
描写は繊細で、丁寧に仕上げられており彩色も非常によく残っている。ただ、人物や景物の描き方に素朴さが見られ、16世紀後半から17世紀前半の絵仏師系の制作と見たい。
市の指定文化財に充分に値するものである。
(上記は指定時の文章です)