市指定文化財
木造不動明王立像
もくぞうふどうみょうおうりゅうぞう
- 区分
- 有形文化財
- 種別
- 彫刻
- 数量
- 1躯
- 所有者
- 神護寺
(管理者) 如来寺 - 指定年月日
- 昭和56年9月1日
- 指定番号
- 1
- 説明
-
像高10cmで、一木彫成、背刳りを施す。両手は肩部で矧ぐ。頂蓮は前半を欠き、右手首より先は失われ、両足先は虫食いのためひどく朽損じている。
光背の修理墨書銘によれば、木像は慈覚大師(円仁)の作と伝え、もと赤穂郡周世郷の高雄山神護寺清篭院護摩堂の本尊であった。
神護寺は、和気清麻呂が創立以後数回の栄枯盛衰があり、文治年中(1185−1190年)文覚上人の再興、明応(1492−1501年)の頃、長慶法師が再建、更に寛文3年(1663年)から延宝2年(1674年)頃にかけて、 領主浅野長直の援助を契起として再興された。
本像の修補もこの頃行われたもので、当時は台座・光背などを新造して安置していた。
本像はおそらく、延宝以後にもまたはげしい破損の難にあい、今日のような痛々しい状態になってしまったのであろう。
虫害による損傷で、立つこともできず、右手を失い、おそらく背刳りのところに蓋板もあったであろうが、それも失われており、顔面、両手、衣文等に拙劣な修補の跡がみうけられ、像容をすこぶる損じている。しかし相貌・体躯・衣文に古様を存し、堂々たる風格を残しており、おそらくもとは平安時代後期の優れた木彫であったと思われるので、指定物件として価値あるものである。
なお、不動明王の光背銘の内容は、京都高雄山神護寺の縁起によったと思われる箇所もあるが、当寺の由来を示す資料として貴重である。
(上記は指定時の文章です)