県指定文化財
銅鐸鋳型片
どうたくいがたへん
- 区分
- 有形文化財
- 種別
- 考古資料
- 数量
- 1口
- 所有者
- 赤穂市
(管理者)歴史博物館 - 指定年月日
- 平成5年3月26日
- 指定番号
- 63
- 説明
-
この銅鐸鋳型片は、鈕の部分から舞の部分にわたるもので、破損の状態からみて、もとは鐸身部分まで含めて一体のものであったことがわかる。外型を2枚合わせて鋳造するその外型の1枚の上半部分に当るものであって、下半部を欠損して現状となったものである。
石質は砂岩で、長さ24cm、幅36cm、厚さ18.5cm、重さ23.2kg、背面は粗く叩いてカマボコ形によく整形されている。彫りこまれた鈕の部分は、長さ21cm、幅31.5cm、舞の部分の短径9.5cm、鈕孔部分は径6cmを測る。
文様については、全体に彫りが浅く一部摩滅して明瞭でないところもあるが、全体としてはほぼ確認できうる状態にある。身の鰭の部分から続く外縁部には内に向鋸歯文が彫られている。中央から左右にふり分け、内斜線の向きの異なる八鋸歯文を入れている。その内側には扁行する12の連続文が配され、その下部の三日月状の部分には、中央の蕨手状文から左右に流れる3つの連続渦文を配している。更に内側の隆起部分には、四区に分け二段の向かい合う斜文で綾杉文を形成している。鈕孔に最も近い内帯には逆蕨手状文で左右2区に分け、3個の連続渦文を配するものとなっている。
鋳型部分には変色もみられるところから、この鋳型によって銅鐸が鋳造されていることがうかがえる。発見部分から推定される銅鐸の全長は80cmに達し、弥生時代中期の銅鐸としては最大のものである。
銅鐸の石製鈕笵は、日本各地で数例発見されているが、小破片が多く、完形品は大阪の東奈良遺跡出土の一例にすぎない。
本例は紐の部分の完形品であって、銅鐸の分類が紐の形式によってなされる今日、紐の鋳型の完形品の存在は、それ自体稀例として価値あるのみならず、銅鐸の鋳造地や形式を研究するうえにおいてもきわめて重要な価値を有するものである。
(上記は指定時の文章です)