兵庫県赤穂市の文化財 -the Charge for Preservation of Caltural Asset ,Ako-
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県指定文化財
地蔵立像板碑
じぞうりつぞういたび

区分
有形文化財
種別
考古資料
数量
1基
所有者
赤穂市
(管理者)有年楢原中所地区
指定年月日
昭和62年3月24日
指定番号
44
説明
 石仏は、高さ175cm、幅165cm、厚さ30cm前後の花崗岩の表面中央部を調整し、その中央に高さ84cm、幅36cmの舟形光背を深さ10cm近くまで彫り込み、その中に像高66cm、裾幅25cmの仏体を刻み、これを高さ16cm幅34cmの蓮華台にのせている。右手に錫杖、左手に宝珠をもつ。頭部は大きく、顔面は長く、頸がそなわっていて、鎌倉時代のものに見られるように顔面が肩に嵌入していないだけやわらかく見える。衣文は、3筋に直下しているが、裾のところで少し外開きになっていて安定感があり、南北朝期の特徴を示している。錫杖は、上環を中心に左右に4個の遊環をつけ、いずれも宝珠形である。蓮弁は素弁であるが、室町期のものに比べて幅が広く彫りも深い。曲線の抑揚がよく残っている。
 堂宇の中に祀られていて、その保存状態はきわめて良好で、破損はもとより風化磨滅の跡が軽度である。しかし銘文はかなり磨減していて、拓本によってもその解読は困難であるが、かつて川勝政太郎氏がこれを判読して、その原文が「地蔵菩薩本願経」から引用されていることを発見し、漸くその全文が解読されたものである。その銘文は、像の右側に「現在未来夫人衆 吾今慇勤附嘱汝」とあり、中央に仏体をはさんで、左側に「以大神通方便力 勿令堕在諸悪趣延文三戌成年三月 日願主等 敬白」と該まれている。延文3年(1358年)の紀年銘に年の上に干支を書いて室町期に多くみられる形式をとっているが、千支は左右に並記されていて室町期以前の形式を示している。
 中世の石仏では市内最大のものであり、唯一の紀年銘をもつもので貴重な文化財であるといえる。
 また、この石仏は一部の地中に埋められた巨石であるところから「生えぬきの石」に彫られているとして「生えぬき地蔵」と呼ばれ、あるいは、この地蔵に煎り大豆を供えて祈ると虫歯が抜けて歯痛が止まるといって、これを「歯抜き地蔵」とも呼ばれている。
 なお、上郡町岩木には延文4年銘の地蔵板碑があり、上半分に石仏を彫っている。また、同町宇野山の椿峠には小形であるが、同形式の石仏がある。しかし、紀年銘はない。その手法から同一工人によって彫られたものではなかろうかと思われる。


(上記は指定時の文章です)

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巻頭写真1
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