文化財ニュースNo.15
発行 赤穂市教育委員会
編集 生涯学習課文化財係(赤穂市加里屋81番地 0791-43-6962)
平成20年5月21日
このページでは、平成19年度に赤穂市教育委員会が行った事業を総括しています。
最新ニュースは、トップページからご紹介していますのでご覧ください。
赤穂城二之丸庭園表門が完成!!
すでに新聞報道によってご存知の方もおられると思いますが、ようやく赤穂城二之丸庭園の玄関となる表門が完成しました。
赤穂城二之丸庭園は、全面発掘調査された貴重な大名庭園として、赤穂市が継続的に整備しています。上流部の整備が一段落し、下流部で屋形舟遊覧が行われるなど整備と活用が少しずつ進められてきましたが、肝心の表玄関つまり「庭園の顔」がなく、少し寂しい感情を覚えた方もおられたことと思います。
今回完成した表門は、屋根のない冠木門と呼ばれるもので、2本の柱の上部に横木を渡した形式の門です。往時には二之丸庭園への入口として、藩主らが出入りしたと思われます。しかし、明治時代に田畑となった際に土地が削られたためか、発掘ではその跡を確認できませんでした。今回の整備では、他の大名庭園の例などを参考に、庭園の門としてふさわしいものに整備しました。
ようやく完成した表門。本丸門のすぐ近くにあり、それを併せて見ると、当時の赤穂城の威容が偲ばれることと思います。
また、二之丸庭園の北側は石垣によって囲まれていましたが、その一部は明治25年の千種川洪水の復旧用資材として石が持ち出されて石垣がなくなっていました。今回、約20mにわたり石垣を復元し、115年ぶりに往時の姿がよみがえりつつあります。皆さま、ぜひ足をお運びください。
表門
- 材 質
- ヒノキ
- 形 状
- 冠木門
- 幅4.2m、高さ3.4m
土塀
- 形状
- 幅1m、高さ2m、長さ24m
- 本瓦葺き
- 版築(砂白漆喰)
田淵氏庭園整備工事が完了!!
田淵氏庭園は、江戸時代に全国最大の塩田地主であった田淵家が作りあげた全国的に著名な庭園で、昭和62年に国名勝に指定されています。
昭和63年度以降、春陰斎の解体復元工事、母屋書院庇屋根の葺替工事、明遠楼の解体復元工事、自動火災報知設備工事など、継続的に修理が実施されているところです。
平成19年度には、「旧タキギ小屋」の修理工事が行われました。江戸時代の絵図にはこの場所に「タキギ小屋」と描かれた建物があり、材木置き場等の役割を果たしていたようです。現在の建物が同じものかどうかはわかりませんが、少なくとも明治時代には存在していたことが、修理の際に見つかった刻書などからわかっており、庭園の景観上重要なものとして、文化財修理を実施しました。
修理前の旧タキギ小屋
修理後の旧タキギ小屋
これ以外にも、母屋や土蔵の破損について小工事も実施しました。
田淵氏庭園は、年に数度イベントを設けて公開されております。また今年度からは観光キャンペーンと絡めた公開イベントも用意されておりますので、ぜひご参加ください。
下記の公開案内に、連絡先がありますのでよろしくお願いいたします。
おせどを修景整備中!!
皆さんは「おせど」をご存知ですか?
正式な名前は「伝大石良雄仮寓地跡」といいます。江戸で起きた刃傷事件によって赤穂藩が取り潰しの憂き目に合い、城明渡しの後、大石内蔵助良雄が京都山科へ出立するまでの間、仮住まいをしていた場所です。
おせどは、平成8年度に赤穂市指定文化財となり、忠臣蔵ゆかりの地として親しまれています。また春には隠れた花見スポットとしても人気を博しているところです。
赤穂市では、平成8年度に指定看板の設置、10・13年度に車止め・藤棚・井戸枠の新調や急傾斜地落石防止工事を行うなど少しずつ整備を進め、平成17年度からは剥落・崩壊した土塀の整備工事を行っています。
平成19年度の工事も無事終わって、おせどの敷地にめぐらされた土塀整備も進み史跡らしい景観となってまいりました。整備は平成20年度が最終年度となり、土塀や池泉周辺の修景を進める予定です。また、おせど内に多目的施設の整備が計画されており、今後より市民の憩いの場として活用されることになるでしょう。
皆さまも、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
発掘調査
- 有年原・クルミ遺跡、有年牟礼・井田遺跡
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赤穂市教育委員会では、有年地区の区画整理事業に伴い、平成18年度から本格的な発掘調査を実施しています。平成19年度の調査では、弥生時代中期後葉(約2,000年前)の火事で焼けた住居が見つかり、注目を集めました。調査の結果、住居内からは1,000点を越えるサヌカイト石器片が見つかり、当時の人々が石器づくりをしていたことが判明しました。また出土した多量の炭はサンプルとして持ち帰っており、家の構造復元、年代測定などを行う予定です。
(平成20年3月2日実施の現地説明会資料はこちら)また、今年度には発掘調査報告書を刊行する予定ですのでご期待ください。
発見された焼失住居この区域では、これから継続的に全面発掘調査を実施していく予定です。ご迷惑をおかけすることもあるかもしれませんが、ご協力のほどよろしくお願いいたします。