兵庫県赤穂市の文化財 -the Charge for Preservation of Caltural Asset ,Ako-
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新指定文化財のご紹介

このたび、平成21年4月20日をもって、2件の市指定文化財が新たに追加されましたので、ご紹介いたします。

女房三十六歌仙画帖 1帖

 女房三十六歌仙画帖は、田淵家より赤穂市に寄贈されたもので、現在は赤穂市立美術工芸館(田淵記念館)にて保管されています。
 本画帖は、代表的な女性歌人三十六人の絵姿と、その和歌を書いた一帖の画冊です。見開きの右に和歌を、左にそれぞれの女房の絵姿を描いています。
 女房の各図には「岑信(みねのぶ)筆(印)」とあり、浜町狩野家初代、狩野岑信(寛文2年〜宝永5年・1662〜1708)と知られています。和歌の筆者は、付属している目録から、外題を近衛基煕(このえ・もとひろ)が書いているほか、36人の公卿が1人1首ずつ書いているようです。つまり絵・書とも、当時の一流の人々の手によるものと言えます。
 絵の描写は極めて細密、かつ色彩豊かで、そして丁寧に仕上げられています。中でも十二単(じゅうにひとえ)の衣装は、描写の繊細さと優美さが相まって大変華麗です。

 画帖自体も、極めて手の込んだ細工が施されており、また豪華で優美な作りです。おそらくは、将軍家か大名家からの注文で作られたもので、田淵家への伝来経路は不明ですが、明治以降になって入手されたものと推定されます。
 このように、本画帖は大変貴重なものとされ、このたび赤穂市の指定文化財に指定されました。 

女房三十六歌仙画帖

女房三十六歌仙画帖

有年原・田中遺跡墳丘墓出土土器 一括

 有年原・田中遺跡は、赤穂市北部の有年原にあり、矢野川が千種川に合流する地域に所在します。遺跡自体は弥生時代中期から室町時代に至る複合遺跡です。
 昭和63年に行われた、ほ場整備事業に伴う発掘調査で、弥生時代後期の円形墳丘墓が2基見つかり、溝内からは多くの土器が出土しました。この墳丘墓は、弥生時代から古墳時代への埋葬習俗の移り変わりを示す遺構として非常に貴重とされ、平成2年には兵庫県指定史跡となりました。

 この墳丘墓から出土した遺物のうち、特に重要とされたのが、装飾壺、装飾器台、大型装飾高坏と呼ばれる土器類です。

 これらの土器類は、いずれも口縁帯に双頭渦文、刺突文、鋸歯文、頸部に沈線文、刺突文、鋸歯文を施す意匠が共通しており、壺には頸胴部の境などに2条の突帯が貼り付けられており、大変凝った意匠が施されています。
壺と器台は8個体以上あったと推定されています。

 これらの土器群は、文様構成が極めて類似していることから、墓に対する一連の供献土器であることが推定されます。また、鋸歯文などを多用する意匠は、主に岡山県(吉備)に多く見られるもので、吉備で弥生時代後半に発展する「特殊壺」「特殊器台」と呼ばれる土器と、何らかの関係をもつものと考えられます。

 こうした土器は、現在のところ有年原・田中遺跡以東では発見されておらず、また特殊な形態をした有年原・田中遺跡墳丘墓から出土したことが、さらに評価を高めています。

 このように、本物件は、弥生時代における吉備との関係をうかがわせるだけでなく、弥生時代から古墳時代にかけての埋葬儀礼を明らかにする重要資料として、赤穂市指定文化財に指定されました。

装飾壺と器台
装飾壺と装飾器台

大型装飾高坏
大型装飾高坏

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巻頭写真1
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