『生島の植生調査報告』刊行のご紹介
このたび、赤穂市教育委員会では『生島の植生調査報告』を刊行いたしました。
坂越湾に浮かぶ生島は、面積8.1haの小島ですが、古来より秦河勝を祭神とする大避神社の禁足地であったため、植生がよく守られていました。その樹種は約190種と言われ、照葉樹林の様相が原始林のまま残された貴重な群落として、大正13年には国の天然記念物に指定されています。また昭和32年には、環境省の効率公園特別保護区にも含められています。(主な樹種:スダジイ、アラカシ、クロガネモチ、モチノキ、ヤブニッケイ、センリョウ、マンリョウ、ジュズネノキ、イズセンリョウ、カラタチバナ、ヤブコウジ、ヤブラン、ベニシダ、フモトシダなど)
しかし1980年代より、兵庫県立大学の服部保教授らによって指摘されていたムベの繁殖がより顕著になってきたことから、平成14年2月28日、ボランティア約250人によるムベツル伐採作業が行われました。この作業によってムベの異常繁殖は抑えられ、その後の継続的な植生調査を行うため、「永久調査区」5地点(100u×5地点)が設定されました。その後の植生調査は、2回目が2003年2月23日、3回目が2003年12月5日に、4回目が2011年11月17日に行われました。
赤穂市教育委員会では、ムベ伐採作業から10年を経過したことから、服部教授に依頼し、これまでの生島樹林植生調査を記録した報告書を刊行いたしました。報告書では、古くは1975年の調査成果と2011年の調査成果との比較や、2002年遺構の継続調査との比較をとおして、ムベの伐採が、生島樹林の多様な植生の保全に大きく役立ったことを明らかにしています。
刊行した報告書はA4判20頁で、フルカラー印刷となっています。限定200部とし、1冊300円で販売しておりますので、皆さまぜひご活用ください。送料が別途必要ですので、郵送にて購入をご希望の方はご連絡ください。左欄の上側に連絡先が記載されております。
頒布場所:赤穂市教育委員会、赤穂市埋蔵文化財調査事務所、赤穂市立有年考古館、赤穂市立歴史博物館、赤穂市立民俗資料館、赤穂市立美術工芸館田淵記念館、赤穂市立海洋科学館